ヘッポコヘタレライダーの管理人だ。
近、バイク業界で異彩を放つ店舗網がある。
カワサキが展開する「カワサキプラザ」だ。
高級ホテルのような洗練されたショールーム、お洒落なオリジナルアパレルの展開、そして何よりも「ワンプライス(値引きなし)」を徹底するその姿勢。
まさに四輪における高級車レクサスのビジネスモデルをそのまま二輪業界に持ち込んだかのような、実にあざやかなブランディング戦略である。
一般人の視点から見れば、「お洒落で安心感がある」「高級感があって所有欲が満たされる」と好意的に受け止められている現在の状況かもしれない・・・
知らんけど・・・
しかし、昔ながらのバイク屋の空気を知る人間からすると、あの「冷やかしお断り」と言わんばかりの特有の空気感には、どうにも居心地の悪さを感じてしまうものだ。
可処分所得の高い富裕層だけを選別しようという、メーカー側の意図的な囲い込みが透けて見える。
この強気な「殿様商売」に対し、管理人は正直あまりカワサキプラザには行きたくないのだが、欲しいバイクがカワサキのバイクなので仕方がない。
日本市場は極小という冷徹な現実
そもそも、なぜメーカーはこれほどまでに強気な囲い込み戦略を取れるのだろうか。
その背景には、現在の二輪市場における冷徹なグローバル構造が存在するらしい。
少子高齢化が進み、国内のバイク人口が右肩下がりで減少し続けていることは誰の目にも明らかだ。
結論から言えば、グローバル展開するメーカーにとって、現在の日本市場は全体の数%に過ぎない極小市場なのである。
現在の主戦場は、欧米の富裕層や、圧倒的な販売台数を誇る東南アジアの爆発的なシェアに他ならない。
つまり、プラザネットワークの生存戦略とは、「薄利多売」を綺麗に捨て去ることなのだ。
数年ごとに中身の変わらないカラーチェンジ値上げを行い、1台あたりの粗利を極限まで高め、国内に僅かに残された富裕層だけを相手にする。
これが彼らのビジネスモデルの正体なのだろう。
2023年型という「お荷物」に着目したロジック
今回、管理人がターゲットに定めたのは、ショールームに鎮座する最新の2026年型ではなく、あえて【2023年式の旧型新車 Z H2 SE】であった。
なぜなら、最新モデルと基本スペックや中身は全く同じであるにもかかわらず、価格改定の波によって、価格差が「22万円」も存在していたからである。
「同じものなら、無駄に高い金は出さない」というのは、ビジネスにおける絶対の基本方針だろう。
事前に他店に眠っている在庫の取り寄せが可能かを店舗側に確認し、合意を取り付けた上で商談の席についた。
店側にとっても、他店の倉庫にデッドストックとして眠っている2023年型は、一日も早く処理したい「お荷物」である。ここに勝機があったと思う。
メーカーの倉庫から通常通り卸すよりも、店舗間のネットワークで在庫を回す方が、結果として店側に自由なマージン(値引きの原資)が生まれるというカラクリが実は存在していた。
電卓で炙り出した驚異の神条件
商談が始まれば、あとは電卓の叩き合いである。
過去のあらゆる明細とミリ単位で比較し、店側から引き出した条件は、客観的に見ても驚異的なものとなった。
まず、車両本体の選択により、22万円の不要な支出を完全にカット。
さらに、他店からの取り寄せであるにもかかわらず、交渉のタイミングで数万円かかるはずの陸送費を「0円」に抑え込ませることに成功した。
そして最大のハイライトが、下取り車の査定である。管理人が差し出したのは、走行わずか641キロの現行型MT-09 SP。新車価格の約93%に該当する「125万円」という異例の神査定を叩き出させた。
プラザの規約上、新車の車両本体から直接値引きすることは絶対にできない。
しかし、2023年型の長期在庫を吐き出したい店側は、実質的な超特大値引きとして、そのマージンを下取り査定額に全振りしてきたのだと想定できる。
買取ったMT-09 SP自体が、業者オークションに出せばすぐに現金化できるドル箱車両であったことも、この破格の条件が成立した裏の理由であろう。
なお、諸経費を精査した際、過去の明細より2万円弱高かった点を鋭く指摘したところ、店側からは「2026年1月からの行政書士手数料の強制課金」という、ガチの法改正に伴う新ルールであるというエビデンスが開示された。
これについては、コンプライアンス上の正当な理由であるため、こちらも納得の上でクリアとしている。
勃発したマニュアル問題と大人の着地
商談の終盤、一点だけ気になることがあった。
リアサスペンションのプリロード調整(バネ長)を確認するため、管理人がサービスマニュアルの開示を求めたところ、店のゼネラルマネージャー(GM)から拒否された。
ユーザーの心情としては、250万円クラスの高額車を契約し、走りの基本についての数値を質問しているのだから、それを隠すのはいかにも不親切であり、リスペクトが足りないと感じるものだ。
以前別のプラザ店で、ノーマルのZH2を買ったときには、快く印刷して見せてくれて、こちらた指定したどおりに完ぺきにセッティングしてくれた。
今回商談したプラザ店はこういったサービスが無かった。
生成AIにこの点を訪ねてみると・・・
著作権の保護、メーカーの機密保持規定、そして未購入者への情報開示禁止というコンプライアンスの遵守であるとの回答だった。
万が一、間違った数値を教えてセッティング事故が起きれば、リスクマネジメント上の問題にも発展しかねないそうだ。
ならばと、管理人は「2万3千円」を支払ってサービスマニュアルをその場で自費購入するという力技に出た。
公式データ(バネ長162mmなど)を完全に把握した上で、完璧な納車整備の指定をメールで事細かに店舗側へ送付し、納車整備の範囲での調整を依頼した。
いちおう「細かい客でもうしわけない」とは伝えてある。
ネットのどこにも情報落ちてなかったので【Z H2 SE】のリアサスの調整範囲を記載しておく。
Z H2 SEのリアサススプリング調整範囲
標準バネ長 158.6mm
152.9mm ~ 164.8mm (調整範囲:11.9mm)
Win-Winのビジネスモデルの完成
こうして、今回の商談は幕を閉じた。
納車は3週間後の予定だ。
管理人側から見れば、22万円を浮かせ、陸送費を0円にし、極上の下取り価格をもぎ取った上、完璧なサスペンションの数値を指定して納車を待つという、今のところは一見上手く行っている様に見える。
もちろん、プラザ側としても、他店に眠っていた不良在庫を綺麗にハケさせ、即金性の高い極上の中古車を手に入れ、さらにフラッグシップモデルの販売台数ノルマと延長保証のノルマを同時に達成することができるとすれば悪い商談ではなかったのではないか?
唯一の心残りは・・・
このクソ高いサービスマニュアルを自腹で買ったことだな。
令和の時代に電話帳のような紙媒体。
PDFなら検索できるのに・・・
わざわざページを探してめくる必要がある。
しかも整備中はもちろん手が汚れる。
汚れた手で触りたくないのが正直なところだ。
いちいち必要なページをタブレットで撮影してもっていかなければいけない。
面倒臭い話だ。



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