へっぽこヘタレアラフィフ親父の管理人です。
仕事帰りに夕闇が迫るガレージで、管理人は一台のバイクを見つめている。
2024年式、ヤマハ MT-09SP。
190kg台の軽快な車体、最新の電子制御、そして定評のあるCP3エンジン。
客観的に見て、これほど完成されたストリートファイターは他にないだろう。
しかし、管理人の心には、拭いきれない隙間風が吹いている。
大型バイク歴13年。
ZX-10Rや、あの怪物的なH2 SX SEを乗り継いできた経験が、
今の「正解」に対して「何かが足りない」と囁き続けているのである。
今回は、一度は「軽さ」と「扱いやすさ」に舵を切った私が、なぜ再び「フラッグシップ」という劇薬を欲しているのか。
その不完全燃焼の正体と、人生最後の相棒選びについて、論理的に整理しておきたい。
「合理性」という名の罠
MT-09SPを選んだ当初、管理人は確信していた。
「50代も半ばに差し掛かれば、260kgを超える重量車は体力的に厳しい。これからは軽さこそが正義だ」と。
確かに、MT-09SPの取り回しは楽だ。
ワインディングでのヒラヒラ感も、10Rの頃とは違う軽快な楽しさがある。
しかし、数ヶ月乗って気づいたのは、管理人が求めていたのは「楽さ」ではなく「高揚感」であったという事実だ。
ミドルクラスの高性能機は、極めて合理的だ。
だが、フラッグシップ機には、その合理性を嘲笑うかのような「過剰さ」がある。
ボルト一本の質感、カウルの塗装の深み、そして信号待ちで隣に並ばれた際の、言葉にできない「格」の差。
ミドルクラスは「便利な道具」としての完成度は高いが、ガレージで眺めながら酒が飲めるような「工芸品」としての凄みにおいて、やはりフラッグシップには及ばない。
「本当はあっちがあるのに、自分は妥協してこれに乗っている」という微かな妥協感が、
管理人の所有欲を少しずつ、だが確実に削り取っていたのである。
スーパーチャージャーという名の「呪縛」
そして、何よりも抗えないのが「エンジンのドラマ性」だ。
一度、カワサキのスーパーチャージャー搭載車を知ってしまった人間にとって、自然吸気のエンジンは、どれほど高性能であっても「どこか物足りない」と感じてしまう呪縛がある。
あの、アクセルを開けた瞬間にインペラが奏でる「キーン」という過給音。
そして、200馬力の出力がもたらす、異次元へと引き摺り込まれるような加速感。
MT-09SPの3気筒エンジンは非常に優秀だ。
トルクフルで、音も官能的だ。し
かし、H2シリーズが持っていた「底が見えない畏怖の念」はない。
53歳という年齢は、体力的な守りに入りたくなる時期だ。
だが、管理人の魂はまだ、右手に全幅の信頼を預け、200PSという暴力的なパワーをねじ伏せる緊張感を求めている。
このまま「無難な優等生」でバイク人生を終えていいのか?
その自問自答に対する答えは・・・
「上がり」への最終候補:Z H2 SEかMT-10SPか
不完全燃焼を吹き飛ばし、人生最後の大型バイクにするための選択肢は、今、二つに絞られている。
まずは、カワサキ Z H2 SE。
H2 SX SEの重さに辟易した私にとって、カウルを脱ぎ捨てたこのネイキッドモデルは、一つの福音に思える。
心臓部はあのスーパーチャージャー。
200PSを誇りながら、姿勢はアップライトで53歳の腰にも優しい。
さらに「SE」にのみ許されたブレンボのStylemaや、電子制御サスペンション(KECS)の装備は、MT-09SPで欠けていた「最高峰のパーツで固められている」という所有感を完璧に満たしてくれる。
何より、あの過給器の感覚を再び味わえるというだけで、胸の高鳴りが抑えられない。
対抗馬は、ヤマハ MT-10SP だ。
YZF-R1譲りのクロスプレーン4気筒。あの独特の等間隔爆発が奏でる音は、バイク界でも唯一無二の魅力がある。
200PSというスペックも、Z H2 SEと並んで私の「刺激への渇望」を満たしてくれるだろう。
だが、どちらがより「フラッグシップのオーラ」を放っているか。
どちらが「世界で唯一の技術」を背負っているか。
そう考えたとき、天秤はわずかに【Z H2 SE】の方へ傾いていく。
不完全燃焼を感動で焼き尽くす
「MT-09SPを最後の大型にしよう」 そう心に決めていたはずだった。
だが、このままでは私は一生、過去の相棒たちと今の愛機を比較し続け、溜息をつきながらバイクを降りることになる。
それは、13年間にわたる私の大型バイク人生のフィナーレとして、あまりに寂しい。
「重さ」は確かにリスクだ。
取り回しで苦労することもあるだろう。
さらに【Z H2】については、無印に乗っていたこともある・・・
H2 SX SEは、電子制御の故障が怖くて手放した・・・
管理人自身も自分が何を考えているのか分からない・・・
どうせなら違うバイクとしてMT-10SPを選択すべきなのかもしれないが・・・
スーパーチャージャーの魅力が忘れられない・・・
ただ、流石に同じバイクを買うのも芸が無さ過ぎるので・・・
せめて2027年モデルで、
メーター2026年モデルのZ1100と同じになったら、
本気で買い替えを決意しよう。
今度こそ、次を最後にする。
不完全燃焼のまま終わるくらいなら、あえて重いフラッグシップに戻り、開けるたびに震えるほどの感動を味わい尽くしたい。
Z H2 SE。
そのエメラルドグリーンのフレームを見つめ、過給音に酔いしれる。
そんな「上がり」の瞬間を想像するだけで、今は不思議と、仕事に向かう足取りも少しだけ軽くなるような気がする・・・いやしないな・・・
仕事は辛い。
人生最後の相棒を選ぶ基準は、もはやスペックではない。
「それを見て惚れ込み溜息が出るか」
その直感に従い、私は再び、スーパーチャージャーの世界へと足を踏み入れる決意を固めた。である。



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