税金の滞納整理をやっていた時に、いろいろ方々とお話をしましたが、中には、借金を借金で返すという自転車操業的な多重債務になってしまっている方がおられました。
さて、こうなってからでは、すでに手遅れなのですが、複数から借金がある場合は、どこから返すでしょうか・・・?
多重債務に陥った場合の対処方法
多重債務に陥った場合に取れるべき方法はいくつかあります
一つ目は、金利の高いものから優先的に返済するという方法で、
次に、金利の安いところから、借り換えし債務を1本化するという方法が考えられます。
まだ返済可能な状況であれば、金利の高いものから優先的に返済することで、金利を含めた総支払額を圧縮することが可能となります。
ちなみに、税金の延滞税(金利相当額)は、年14.6%ですので、金融機関の利息や、カードローン等の利息よりも相当高額となります。
最近では、地方税の滞納整理もかなり厳しくなっており、延滞税の減免は、よほど困窮(生活保護や自己破産)していない限り減免にはなりませんので、本来であれば、税金を優先的に払った方が、結果的にダメージ(総支払額)は少なるはずですが、何故か滞納者の皆さんは、延滞税(金利相当額)の高い税金よりも金融機関の借金を優先される様です。
借り換えによる債務の1本化
仕事をしっかりしており、ある程度安定した収入がある場合は、借り換えをオススメします。
金利の低い金融機関から融資を受け、税金を含めて複数の債務を一括清算し、債務を一つに纏める方法です。
こうすることで、債務の管理もし易くなりますし、複数の債権者に同時に返済することも無くなりますので、返済も楽になります。
但し、これ以上、お金を借りて債務を増やさないように、注意しなければなりません。
また、裏技的ですが、税金の滞納については、この方法により、延滞本税を一括納付する事を交換条件として、延滞税の減免を相談すれば、受けてくれる可能性があります。
役所の徴収職員(徴税吏員)としても長い期間を掛けて納めて貰うよりも、本税一括納付は、良い条件なのです。
裏を返せば、本税の滞納額が大きいということは、それまでの役所の滞納整理が甘かったという事です。
もっとしっかりと滞納整理を行っていれば、それほど酷い状態にはならなかった・・・かもしれないからです。
ここら辺の事情を分かっている徴収職員(徴税吏員)であれば、交渉次第では、相談にのってくれるかもしれません。
但し、あくまでも可能性があるということです。
必ずしも「延滞税の減免相談が受け入られる事を保証はできません」が、経験上実例はありました。
専門家に早めに相談する
次に、収入が不安定の方の場合ですが・・・
これは、早めに、弁護士や司法書士等の専門家に相談することをオススメします。
専門家に相談し債務整理(任意整理・自己破産)の相談をした方がよいでしょう。
多重債務に陥ってしまった場合に、安定した収入源がない場合は、自力でその状態から抜け出すことは、実際は困難です。
早めに専門家に相談し、債務を清算し身軽になった上で、人生を再スタートさせる方が、結果的にダメージが少なくなる可能性が高いです。
また、債務整理を行うということは、その方の財産の全てを、債務返済の為に清算するということです。
この為、債務の返済の為に財産の清算を行っても、なお税金の滞納が残っている場合は、「滞納処分の執行停止」に該当する可能性があります。
滞納処分の執行停止とは・・・?
滞納処分の執行停止とは、その言葉のとおり、「滞納処分の執行を停止」するということです。
つまり、「財産の差押え」をされることが無くなるということです。
また、通常税金の時効は5年ですが、それを3年に短縮し「滞納処分の執行停止」の状態が3年間続けば、納税義務が消滅します。
国税徴収法一部抜粋
(滞納処分の停止の要件等)
第百五十三条 税務署長は、滞納者につき次の各号のいずれかに該当する事実があると認めるときは、滞納処分の執行を停止することができる。
一 滞納処分の執行・・・一部省略・・・することができる財産がないとき。
二 滞納処分の執行等をすることによつてその生活を著しく窮迫させるおそれがあるとき。
三 その所在及び滞納処分の執行等をすることができる財産がともに不明であるとき。
2 ~ 3 省略
4 第一項の規定により滞納処分の執行を停止した国税を納付する義務は、その執行の停止が三年間継続したときは、消滅する。
5 省略
自己破産した場合は?
自己破産した場合は、「滞納処分の執行停止」となる可能性が高くなります。
但し、国税徴収法第153条1項の「執行を停止することができる」とは、「滞納者の申請に基づかないで、職権をもって滞納処分の停止ができることをいう。したがって、滞納者は、滞納処分の停止を受けないことについて不服申立て又は訴えを提起することができない。」と解釈されております。
あくまで申請ではなく職権ですので、必ずしも「自己破産」したからと言って、「滞納処分の執行停止」となる保証はありません。
しかし、「自己破産」した場合は、「官報」に掲載されますので、役所の徴収職員(徴税吏員)は、「滞納者の自己破産」を知り得ることができます。
知り得ることができるということは、職権による「滞納処分の執行停止」となる可能性があるということです。
これも経験上、実例はありました。
但し、納税義務が消滅する3年以内に、収入状況が安定した場合は、「滞納処分の停止の取消」に該当し、滞納している税金を納付しなければなりません。
国税徴収法一部抜粋
(滞納処分の停止の取消)
第百五十四条 税務署長は、前条第一項各号の規定により滞納処分の執行を停止した後三年以内に、その停止に係る滞納者につき同項各号に該当する事実がないと認めるときは、その執行の停止を取り消さなければならない。
役所の、徴収職員(徴税吏員)は、「滞納処分の執行停止となった滞納者」であっても、毎年、必ず財産調査を実施しています。
「滞納処分の執行亭」から3年以内に、収入が安定してきたら、確実に役所からの通知が届くこととなります。
まとめ 多重債務に陥ったら・・・
安定した収入があるなら、借り換えで、債務を1本化する。
収入が安定しないなら専門家に相談し債務整理(任意整理・自己破産)を検討する。
借り換え等により延滞本税の一括返済が可能なら、延滞税の減免を相談してみる。
但し、相談を受け入れてもらえるかは、交渉次第・・・
自己破産した場合は、「滞納処分の執行停止」に該当する場合がある。
但し、自己申請はできず、徴収職員(徴税吏員)の職権による
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