役所の矛盾
毎年恒例の予算編成の季節がやって参りました。
毎年の事ですが、
4月~8月は、決算事務
10月~翌2月は、予算事務
というルーティンを繰り返しております。
毎日1日中、この業務をしている訳ではないですが、平均すると1日当たり0.3人ぐらいの時間を要しております。
この為
決算事務は、年間約30人日
予算事務は、年間約30人日
合計、年間約60人日を予算・決算事務に費やしております。
1年間の勤務日数を、20日×12カ月=240日とすると、実に25%もこの業務に時間を取られていることになります。
私の部署では、これを私1人でやっておりますが、かなりの負担です。
また、この不景気な時代ですので、財政部門からは、毎年厳しい査定を受けており、何か事業をやろうとしても、思うように予算を組むことができません。
役所の財政状況もかなり厳しい様です。
役所は、入札で業者を決めるので、ハズレを引くことも・・・
話はそれましたが、以前に20億円規模の大型事業がございました。
当然ですが、財政部門からは、見積を精査し「最小の費用で、最大の効果を得らえる様に」と厳しいお言葉をいただいておりました。
また、この規模の事業ですので、役所で正確な設計をすることは出来ませんので、設計業務については、委託となります。
受注した設計業者は、全国でも実績のある会社でした。
ところが、納品予定の設計図書「仕様書・設計書(設計額)・図面」を見ると、異様に設計額が高いのです。
担当者を呼び、話を聞くと、メーカーから出てきた見積金額をそのまま記載したとのことでした。
「メーカーから出てきた見積金額の妥当性について検証しているのか?」を尋ねても、返事が返ってきません・・・
どうやら、この設計業者は、全国的な実績があるとしても「ハズレ」だった様です。
役所は、入札で業者を決めておりますので、受注する業者には「アタリ」・「ハズレ」があるのです。
財政部門からは、耳にタコができる程、「お金が無い・お金が無い」と聞かされていたので、これでは埒が明かないと思い、止むを得ず直接メーカーの担当と価格交渉をさせていただきました。
「設計業者に出した見積の根拠」を問いただす等、かなり激しいやり取りがありましたが、最終的に、設計額が1億円程下がりました。
こんな具合でしたので、メーカーと設計業者が、裏で手を組んで「何か悪い事を」企てていたのではないか?・・・と疑いたくなります。
さて、年度が変わり、設計も無事に終了し、いざ発注業務です。
契約部門からは、早期発注、早期着工するようにと言われており、4月早々慌ただしく発注業務をする必要がありました。
この規模の発注となると役所的には、次のような事務の流れになります。
①名委員会に諮る為、幹部に根回しをする
②指名委員会に諮る
③名委員会後に入札公告
④入札後仮契約
⑤議会の議決を得て本契約
⑥着工
※仮契約ができても、議会の議決を得るまでは、着工できません。
また、納期の関係で工期から逆算すると、6月議会で、議決を得る必要がありましたので、遅くても5月のゴールデンウイーク直後には、入札公告を実施する必要があります。
さらに逆算すると、5月のゴールデウイーク前には、指名委員会に諮る必要がありますので、それに合わせて、4月中に幹部に相談にいきました。
ところがです・・・
大型事業なのに、スケールメリットを活かさない・・・お金が無いのに・・・
設計額を見るなり、「(地元の業者に広く受注の機会を与える様に)契約を分けろ」で終了でした・・・
「 地元の業者に広く受注の機会を与える様に」は、分かります・・・
しかし、道路等の工事と異なり、一体的な事業でありましたので、事業担当部門としては、1契約を予定しておりましたが、「契約を分けろ」と言うのです。
「契約を分けることによる弊害(責任分界点が曖昧になり、品質や信頼性等の確保が困難になる)」をいろいろ説明しても聞いて貰えないのです。
「事業の中身」なんて一切関係ありません・・・
また、「契約を分ける」ということは、その分「諸経費率が上がる」ので、設計額(事業費)も上がります。
あれだけ、「お金が無い・お金が無い」と財政部門が、言っているにも拘わらずです・・・
無駄な税金を使うことになるので「背任行為にならないのか?」と疑問を感じてしまいました。
さらに、「分けてなお6月議会に間に合わせる」ことを要求されました。
そもそもですが、「20億円規模の事業の設計を1週間やそこらで分けること」は、無理難題にも程がありました。
ブラック企業も顔負けのパワハラです。
ここまでいったら、パワハラというよりも、もはや「イジメ」です。
もちろんですが、「心が折れた」・・・事は言うまでもありません・・・・
「お金が無いのに、お金を掛ける」・・・これが役所の矛盾の一つです。
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