9割以上の殆どの方は、滞納すること無く税金を納めているかと思います。
しかし、残念ながらごく僅かの数%の方が、税金を滞納し、なんらかの滞納整理の対象となっております。
滞納整理をやっていた時に、いろいろな方と接し、滞納という状況を回避できたのではないかという方も沢山おられました。
今回は、私が経験してきた中で、滞納に陥るいくつかのパターンを紹介していきたいと思います。
税金の滞納になる典型的なパターン
1.住宅ローン(当初の計画に無理がある)
金融機関の方とお話しする機会があり、住宅ローンの滞納は、どの様な感じですかと聞いたことがあります。
その際の話で、そもそも住宅ローンの返済計画に始めから無理がある方が案外多いとのことでした。
具体的には、子供が居ない世帯で、長期的な返済計画の中に、当初から配偶者の収入を見込んでいる場合などです。
共働きが当たり前の今のご時世ですので、当然なのかもしれませんが、こういった場合には、子供が生まれた途端に、返済計画が狂ってしまうそうです。
子供が生まれれば、育児のため配偶者が休職することとなり、世帯収入が激減する訳ですが、容易に想定される事にも関わらず、何故それを考えていなかったのか・・・?
と思う事例が案外多いとのことでした。
この様な状況で、住宅ローンが滞れば、抵当権により競売に掛けられる可能性が出てきますので、住宅ローンを優先し、税金まで手が回らない状況となり、滞納となってしまいます。
2.住宅ローン(その他)
次に、同じ住宅ローンでも、病気、怪我、退職、会社の倒産、思っていた様に収入が上がらない場合です。
住宅ローンを組む場合は、これからもずっと働いて、安定した収入が継続されることを前提としています。
これは、おそらく皆さんも同じだと思いますが、中には、これらの理由で、収入が不安定となり、滞納となる場合があります。ある意味、運的な面もあるかと思います。
滞納者というと、何も持っていない方を想像される方が多いと思いますが、この様に住宅等の資産を持っている方が結構おります。
逆に言えば、住宅を持ってしまったからこそ、滞納者になってしまう場合があると言うことです。
3.国民健康保険
実際によくあるケースなのですが、会社を辞めて、社会保険から国民健康保険の加入手続きをしていない場合です。
これは、あまり病院に行くことのない若い方に多いのですが、本来であれば、会社を辞めて、社会保険から外れると、役所の窓口で、国民健康保険の加入手続きをしなければなりません。
しかし、知ってか知らずか、この手続きをしないままにしている方が結構おり、2~3年経ってから、「病院に行きたいので、保険証を下さい」と窓口に来る方が実際におられます。
こうなると、社会保険を外れた時まで遡って、2~3年分の国民健康保険税が一度に課税されることとなります。
その方の収入状況にもよりますが、概ね20~30万円台となる事例が多かったと思います。
役所の方で、社会保険を外れた方が把握でき、その際に通知でも出せれば、この様な問題が多少は減らせると思うのですが、現状では、社会保険と国民健康保険は、保険者が異なるため、そこまでの情報連携ができず、本人の申請次第となっており、こういうことが起こり得ます。
国民健康保険税(料)の擬制世帯主とは・・・?
また、国民保険税は、世帯主に課税されますので、例えば、お子様が会社を辞めて、国民健康保険の加入手続きをしておらず、2~3年後にそれが発覚した場合には、お子様ではなく、世帯主である父親に一度に課税されることとなります。
簡単に図にしますと、下の様になります。
各世帯構成員の保険の状況
父親 (社会保険)
母親 (父の社会保険の被扶養者)
お子様(社会保険から国民健康保険へ加入/但し未手続)
各世帯構成員の健康保険の課税の状況
父親 (給与天引きの社会保険料)+(息子の国民保険税)
母親 (課税無し)
お子様(課税無し)
この様に、父親は国民健康保険に加入していないにも関わらず、お子様の国民健康保険税が課税されることとなります。
この場合の父親を国民健康保険では、擬制世帯主というのですが、滞納が絡みだすと、家族間の関係を悪くする可能性があるなど、ややこしい制度であります。
さらに、擬制世帯主で、レアケースですが、次の様な事例がありました。
ある男性が、結婚を考えている、ご相手とそのお子様(国民健康保険加入中)と同居することとなったのですが、住民票を同一世帯にしたため、そのご相手とお子様の国民健康保険税が、その男性に課税されました。
この男性には、これまで滞納したことはございませんでした、同居によりこういう問題が起こることを想定していなかったらしく、かなり驚いておりましたが、経済的に負担する余力が無かった様で、滞納となってしまいました。
4.住民税
住民税の滞納は、転職した場合などに起こりやすいです。
ちゃんとした会社であれば、住民税は、給与から天引き(特別徴収)してくれるのですが、給与から天引きしてくれない会社(普通徴収)に転職すると、自分で納めなければなりません。
役所からは、納税通知書は、発送しているのですが、当の本人は、給与から天引きされていると勘違いしており、滞納となる場合があります。
日本の税制は、自ら申告して税金を納めるというよりも、サラリーマンであれば、申告も含めて(年末調整)会社が全部やってくれるという制度なので、この様な問題が起こりやすいのでしょう。
5.固定資産税(相続がらみ)
不動作の所有者がお亡くなりになると、相続登記の有無に関わらず、その相続人に課税されます。
相続財産の固定資産税は、遺産分割協議が整うまでは、法定相続人すべての方に100%の納税義務(法定相続分ではない)があり、法定相続人の誰かが、納税すれば良いこととなっておりますが、全ての法定相続人に納税通知書を出すと、複数人が納付し、過誤納付となってしまう可能性が出ます。
このため、相続人が複数いる場合は、その中から納税通知書を送付する相続人代表者を選任していただくのですが、相続問題があったり、相続人が遠方にいて連絡が取れず、協議が整わない場合などは、役所の方で長兄者などを指定します。
元々、相続問題で、協議が整わないような状況ですので、何故自分だけに納付書が来るのかというトラブルとなり、納付していただけない場合が出たりします。
6.自動車税
自動車税も、不動産の相続と同様な問題が起こります。
また、レアケースかもしれませんが、離婚でも似たような問題が発生する場合があります。
具体的には、婚姻中の奥様の自動車の所有者(使用者)が旦那様名義となっている場合です。
この様に、自動車の名義と使用者が異なる状態で、離婚となった場合、自動車の名義を奥様に変更していれば良いのですが、多くの場合、し忘れており、次年度の自動車税がそのまま元旦那様に届くわけです。
元旦那様としては、自分が使っていないので、元奥様に請求して欲しいという話になるのですが、役所としては、車検証上の所有者(使用者)にしか、課税できませんので、速やかに名義変更して欲しいとお伝えするのですが、離婚に至る程、人間関係が崩れているので、なかなか上手く名義変更できない場合が多い様です。
いずれにしても、税金は元金が決まっている借金と異なり、毎年課税されますので、一度滞納状況に陥ってしまうと、次から次へと新年度の税金が課税され、滞納額が膨らんでいく傾向にあります。
危険な状況に陥りそうな場合は、早目の対処が必要となります。
次回以降、役所が実施する滞納整理について触れていきたいと思います。
まとめ
①税金の滞納となるには、ある程度パターンがる。
②誰でもそのパターンにハマる可能性がある。
③そのパターンに陥らない様に注意して生活する必要がある
コメント