IPAの試験区分の変更で、苦労して取得した上級システムアドミニストレーターが無くなった!
2009年(平成21年)にIPAが「試験区分の変更」を実施しました。
それによって・・・
上級システムアドミニストレーター(AD)
が無くなりました。
上級システムアドミニストレーターとは?
試験区分変更前のテクニカルエンジニア(システム管理・ネットワーク)・第一種情報処理技術者・ソフトウェア開発技術者・情報セキュリティアドミニストレータ・中小企業診断士(情報)等を対象としいた試験区分であり、経営情報に関するシステム要求を設定するのみならず経営組織の改善を自ら策定していくなどの専門的知識を問う最高で超難関区分の試験であった。
試験範囲は企業会計と情報戦略が大部分であり、中小企業のみならず公的機関や大企業などの大規模な情報システム利用に対する要求仕様の決定のみならず、経営戦略、会計、法務など極めて高度な範囲であった。 企業の取締役や経営者、またはコンサルタントなど組織の意思決定を担うことのできる重要なポストを想定していた。
合格率の累計は、8%前後
合格者の累計は、4,000人未満
という超マイナーで高難度な試験区分でした。
それがあっさりと無くなってしまい、システムアナリストと統合された「ITストラテジスト」に変わったわけです。
ITストラテジストとは
「企業の経営戦略に基づいて、ビジネスモデルに於いて情報技術を活用し改革・高度化・最適化する為の情報戦略戦略を策定・提案・推進する者である。
また開発の超上流工程に於いて事業戦略・事業計画からシステム化計画の立案と実行を主導する。
高度な経営戦略知識・情報戦略知識・コンサルティング能力を有し、経営者の立場で企業の経営方針を左右する意志決定能力を有する事が求められる為、経営企画や最高情報責任者(CIO)などの幹部候補、ITコンサルといった立場の者を想定している。
この資格は、IT系の資格では唯一、弁護士、公認会計士、医師、技術士等と並び、厚生労働大臣によって「専門的知識等を有する労働者」に指定されており、労働基準法において特例扱いの対象となっている。
合格率は、14%前後
管理人のITストラテジストの受験歴は?
管理人は、この試験を2回受験しました。
1回目は、システム監査技術者試験の為に、午前1の免除資格を得る為です。
管理人は要領が悪いので、1日で午前1から午後2まで受けきるだけの勉強ができませんので、午前1免除は必須要件と考えています。
ちょうどシステム監査技術者試験の午前1免除資格が2回落ちて、無くなってしまったので、たまたま秋試験に何か受けて午前1免除資格を得る為だけに受験しました。
殆どITストラテジストの勉強はしておらず、午前1だけの勉強で受験しました。
午前2が終わった時点で、自己採点の結果、午前2で敗退している事が確実に分かりましたので、午後の試験は受けずに帰りました。
2回目の受験は、その翌年度の受験となります。
この様な状況でしたので、2回目の受験が本格的に取り組んだ1回目の試験といっても良いと思います。
上級システムアドミニストレーターが無くなってから、この試験の存在はずっと気になっておりましたが、上級システムアドミニストレーター受験時のあの苦痛の勉強を、またしなければいけないのかと思うと、手を出せずに放置していたという感じです。
結果からお伝えすると2回目の受験であっさりと合格できました。
合格するまでの勉強量はどのくらい必要か?
この試験区分を受験するということは、ある程度情報処理技術者の受験経歴がある方が多いと思います。
その知識がある事を前提にお話しすると、ITストラテジストに関しては、管理人が受験したことのある試験区分の中では、覚えることは少ない試験区分であることは間違いありません。
管理人の受験した事のある試験区分は次の通りです。 初級システムアドミニストレーター 情報セキュリティアドミニストレーター 上級システムアドミニストレーター システム監査技術者 ITサービスマネージャ(未取得) プロジェクトマネージャ(未取得) テクニカルエンジニア・ネットワーク(未取得) 基本情報技術者(未取得)
上級システムアドミニストレーターの合格からは、10年以上経過しています。
ですので「その時の知識の貯金は既に忘却の彼方」とすると、知識が残っていたのは、その頃毎年受けて落ちまくっていたシステム監査技術者試験くらいでした。
しかし、システム監査技術者とITストラテジストでは、多少重なる部分があるとしても、全く別の内容と言えますので、ほぼ初見の状態と言えるでしょう。
勉強量については、サブサイトで案内している問題集の過去問の5年分を5周ほど回して覚えた程度です。
勉強期間については、2~3カ月といったところでした。
勉強している時の手ごたえは?
午前2については、過去問を解いてひたすら覚えるだけです。
5年分も覚えておけば、まず合格点は取れます。
最近は感覚的に高度区分の午前2については、初見の問題が比較的多くなってきていますが、それでも5年分解いて覚えておけば、なんだかんだでも6割は取れます。
午後1についても、同様に過去問5年分を複数回やりました。
但し、システム監査技術者の時と異なり、勉強していても点数が取れそうな手応えが最初からありました。
何故、手応えを感じる事ができたのか?
ITストラテジストとは、例えば一般企業( 私は役所勤めですが )であれば、経営方針に沿って、情報戦略を立て、新規システムの導入や更新を計画し実施していくことです。
情報戦略を立てるのは、情報技術によって、業務の合理化・効率化を図り、経営資源をコア事業に集中させる事です。
端的に言えば、以前よく言われてた「OA化(オフィスオートメーション)」の本来の趣旨であります。
これを見て分かるとおり、ITストラテジストの試験とは、一般的な情報化について当たり前の事が問われるだけの試験とも言えます。
ですので、この試験区分については勉強量の多さというよりも、なんらかのシステムの導入や更新を仕事上経験した事がある人であれば、比較的に容易に感じる筈です。
管理人も役所のシステムのいくつかを導入・更新した事がありました。
役所の場合は、業務の効率化も求められますが、最も重要なのは、トータルコストの圧縮です。
これまで、バラバラに契約していたシステムを可能な限りパッケージシステムに統合し、スケールメリットを最大限活かしコストを下げるという手法です。
恐らくですが、こういう経験があった為、比較的に勉強していても手応を感じる事ができたのではないかと感じています。
業務経験がない場合はどうすれば良いのか?
業務経験が無くても問題ないと考えます。
一般的な情報化の目的を理解していれば、簡単に想定できるからです。
考えてみください。
何故・・・情報化を推進する必要があるのですか・・・?
と問われれば・・・
恐らく多くの方が
業務の効率化 業務の合理化 人件費の削減 コア事業に経営資源を集中させる為の選択と集中 新たなサービスを展開し顧客サービスを向上させる サービス向上により売り上げを向上させる 顧客の囲い込みLTV(生涯売上)を確保する ・・・など・・・
と思いつくでしょう。
つまり誰でも思いつくことを、想定できる様にすればいいだけです。
試しに、午後1の記述試験の解答をいろいろ見比べてください。
概ね上記のどれかに当て嵌まる回答が多いかと思います。
論文はどうする?
論文については、システム導入若しくはシステム更新の想定論文を1~2個考えておけば、その場で対応可能です。
最終的には、必ず
業務の効率化 業務の合理化 人件費の削減 コア事業に経営資源を集中させる為の選択と集中 新たなサービスを展開し顧客サービスを向上させる サービス向上により売り上げを向上させる 顧客の囲い込みLTV(生涯売上)を確保する ・・・など・・・
に帰結しますので、上記を押さえて論文を考えていけば大抵は何とかなります。
管理人が受験した時の論文試験は、
「タブレット等の新たな技術を活用したシステムの導入経緯と導入にあたりどの様に実証実験を計画し、経営層の承認を得たか?」とう趣旨の論文問題でした。
試験開始直後は、少々悩みましたが、上記のうち
新たなサービスを展開し顧客サービスを向上させる
という論点で、
①スマホアプリを開発し住民に有益な情報をプッシュ配信する
②実証実験は、町内会の役員等から募り実際に使っていただき検証する
という構成で論文を書き上げ合格する事が出来ました。
問われている事を素直に受け止め、問題の題意にそって回答していけばそれほど難しいものではありません。
まとめ
ITストラテジストは覚えることが比較的少ない
どちらかと言えば知識よりも経験を問う試験
経験が無くても情報化の趣旨を理解していれば合格可能
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