へっぽこヘタレアラフィフ親父の管理人だ。
さて、一時ほどではないが、ネットのニュースや時計ブログでは「資産価値としての高級機械式時計」「ヴィンテージウォッチの価格高騰」といった、きらびやかで投資目的のような話題を見聞きする。
しかし、世間一般の時計オーナーの視点から見れば、「若い頃に清水の舞台から飛び降りる覚悟で買った大切な時計を、これから先いつまで維持すべきか」「年齢を重ねるにつれて、毎回の高いメンテナンス費用が重荷になってきた」と、現在の状況においてリアルに悩んでいるケースは多くないのであろうか?
もちろん管理人はその一人だ。
管理人には、20年間苦楽を共にしてきた相棒がいる。
「オメガ・スピードマスター・ブロードアロー(Ref.3551.50 / Cal.3303)」という機械式時計だ。
購入から20年が経過し、前回のオーバーホール(分解掃除)から数えても10年が経った今、この時計の行く末について真剣に考え直す時期がやってきた。
結論から言うと、手のかかる機械式時計を人生の「ロマン」として愛でつつ、実用最高峰の「GPSソーラー時計」をこれからのリアルな道具として迎え入れるかどうか・・・
で悩んでいる。
今回は、そんな高級時計の維持費の現実と、管理人が考えた生涯の時計戦略を備忘録として掲載しておく。
「調子が良いから放っておく」に潜む破滅のワナ
管理人のブロードアローは、10年前に一度オーバーホールをして以来、現在も時計としては非常に正常に、一分の狂いもなく動いている。
一般人の感覚からすれば、「特に不具合がなく元気に動いているのだから、わざわざ高いお金を出して今すぐ修理に出す必要はないのではないか」と考えがちだ。
しかし、この「動いているから大丈夫」という油断こそが、調べてみると破滅へのカウントダウンなのだそうだ。
時計にとって「動いている」ことと「健康である」ことは全く意味が違うらしい。
機械式時計の内部で使われている潤滑油の寿命は、どれほど長くても4〜5年程度とされている。
つまり、10年間も放置された内部はオイルが完全に乾ききり、金属のパーツ同士が激しい摩擦で悲鳴を上げながら、互いを削り合っている恐ろしい状態とのこと。
これを完全に時計が止まるまで放置してから修理に持ち込むと、内部の繊細なクロノグラフ(ストップウォッチ機構)部品などが完全に削れて使い物にならなくなっており、部品交換代だけで修理費用が数万円から十数万円も跳ね上がることになる。
機械式時計において、「正常に動いている今この瞬間こそが、オーバーホールに出すべきベストタイミング」なのだ。
初期不良の噂と20年目の真実
管理人が愛用するモデルに搭載されている「Cal.3303」という心臓部には、インターネット上が普及し始めた当時、初期不良(クロノグラフのリセットやストップ機構のトラブル)が多発したという、あまり良くない噂が囁かれていた。
「ハズレの時計を買ってしまったのだろうか」と不安を抱いた時期もあったが、20年が経った現在の状況から振り返ると、その真相はあるいみで当たっていなかったのだろう。
確かに初期ロットに不具合があったのは事実のようだが、オメガはその後、裏でしっかりと対策パーツ(改良部品)を投入して設計を修正しているとのこと。
つまり、管理人の個体が20年間ノントラブルで動き続けてきたという事実は、そのパーツの工作精度と最初の職人の組み立てが完璧であったという「超アタリ個体」の証明に他ならない。
本当にダメなハズレ個体であれば、最初の数年でとっくに壊れているはずだからだ。
今では、誇るべき頑丈な名機であると確信している。
修理先の選択と過去の未練の答え合わせ
いざオーバーホールに出すとなった時、次の主治医をどこにするべきか。
オメガのメーカー公式(正規カスタマーサービス)に出せば、自動的に最新の対策パーツに交換してくれる安心感はあるが、いかんせん費用が高額すぎる。
また、職人が良かれと思って20年かけて味わいが出た文字盤や針を新品に強制交換してしまうリスクもあるかもしれない。
そこで管理人が選んだのは、時計マニアの間でも技術力に定評がある名門の民間修理工房「カナルクラブ(Canal Club)」だ。
こうした信頼できる民間工房であれば、完全分解して状態を正確に見極めてくれるだけでなく、20年連れ添った時計の歴史、いわゆる「文字盤や針の味」をそのまま残した状態で、内部の機械だけを完璧に仕立て直してくれるからである。
また、当時もう一つの候補として迷っていた、一回り大きな「ブロードアロー GMT(Cal.3603)」を選ばなかった過去の自分に対しても、今では「買わなくて大正解だった」と胸を張れる。
ノンGMTモデルの厚みが約14mmであるのに対し、GMTモデルは約16.5mmという、日常使いにはあまりにも分厚く重い仕様であった。
袖口にも収まりにくく、複雑な機構が増える分、これからのオーバーホール費用もさらに高くなって家計を圧迫していたはずだ。
王道なデザインと優れた装着感、そして維持のしやすさを兼ね備えた現在のモデルこそが、長期愛用における正解だったと思える。
最近の時計への違和感とアテッサという選択肢
ところで、近年のオメガをはじめとするスイスの時計業界全体を見渡してみると、過度な高級化(ラグジュアリー化)に走りすぎており、庶民には手の届かないバカ高い価格設定になっていることに違和感を覚える。
スペックばかりが過剰になり、限定モデルやカラーバリエーションの乱発が目立ち、20年前に管理人を魅了した「硬派な男の道具感」が薄れてしまっている気がしてならない。
そこで今、管理人の視野に入ってきたのが、シチズンの「アテッサ(ATTESA)」に代表される、日本の技術が詰まったGPSソーラー電波時計である。
一般の時計マニアからは「ただの電池で動く電子機器だろう」と切り捨てられがちだが、実はアテッサの構造は非常に男心をくすぐる。 地球上のどこにいても正確な時刻を刻む「10万年に1秒の誤差」という圧倒的な精度や、日常の傷を狂暴なほど跳ね返す「スーパーチタニウム」の外装。
それでいて、液晶画面ではなく本物の針や日付ディスクを動かすために、内部には精密な「金属の歯車」がしっかりと組み込まれている。
時計というよりも精巧な電子機器という感じだ。
かといって、メンテフリーというわけではないようだ。
実は10年に1回程度は、オイルの引き直しや充電池交換のために定期的なメーカーメンテナンスを必要とする。
生涯コスト比較シミュレーション
いま管理人はアラフィフ。
ここから80代中盤までの約30年間、これからの人生を共にする相棒として、「オメガを維持し続ける場合」と「アテッサに乗り換える場合」でどれだけの経済的コストの差が生まれるのか、シミュレーションを行ってみた。
パターンA:オメガを30年間維持し続ける場合
- 7〜8年周期で計4〜5回の定期オーバーホール(民間工房を想定)
- 生涯コスト:約42万〜48万円(※将来的な部品高騰や供給終了のリスクは別)
パターンB:シチズン・アテッサを新調して30年間使い倒す場合
- 高機能モデルの本体購入(約15万円)+10年ごとのメーカー定期点検(計2回)
- 生涯コスト:約21万〜22万円(※30年後に電子基板の寿命で大往生を迎える計算)
コストの数字だけで見れば、アテッサの圧倒的な大勝利である。
電子機器としての寿命(約20〜30年)という限界はあるものの、その寿命を迎える瞬間まで「一歩も狂わずに時間を告げ、その命を全うする至高の道具」としてのコストパフォーマンスは最強と言わざるを得ない。
「粋な時計ライフ」のロードマップ
最後に、今後のロードマップとしては、次のフローが妥当ではないだろうか?
- 【今すぐ】 20年分の感謝を込め、オメガをカナルクラブに入院させて内部を「完璧な状態」に戻す。
- 【50代の残り】 最高のコンディションを取り戻したブロードアローと共に、現役ビジネスマンとしてバリバリと最前線を駆け抜ける(超アタリ個体であるため、次の7〜8年は余裕で持ってくれるだろう)。
- 【アラ還】 激動の時代を生き抜いたオメガを「人生の記念碑」として第一線から退かせ、売却してアテッサの購入資金に充てる。
- 【これからの人生】 還暦からの新しい相棒として、実用最高峰の「シチズン・アテッサ」を右腕に新調し、そこから30年間、限界を迎えるまで徹底的に使い倒す。
とりあえずはこんな計画にしておこう。



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