あくまで個人的な推測に基づく見解でありますので、これを読んでご気分を害される方がおられましたら、あらかじめお詫びしておきます。
マイナンバー制度って必要?
国は、定期的に国策事業を行います。
2016年(平成28年)の「マイナンバー制度」が印象的ではないでしょうか?
導入のメリットとしては、社会保障や行政サービスを充実させる事を強調しておりました。
失われた年金問題について
以前、「失われた年金問題」がありましたが、これを「恰好の題材」にして、「マイナンバー」を導入すれば、「これまで、行政機関ごとに管理していた個人情報を一元管理できる様になり、年金を貰い損ねる事がなくなる」と宣伝していたように記憶しております。
「失われた年金問題」・・・
これは、実際にはどういうことか言いますと、
①例えば、何度か転職した人がいたとします。
②そして、その方が、それぞれの転職先に年金手帳を出しませんでした。
③当然、その勤務先は、基礎年金番号が分かりませんので、知りえる「住所」、「氏名」、「生年月日」、「性別」等を年金事務所に伝えて手続きをします。
④年金事務所で照合した際に、「住所が変わっていた」り、「結婚や離婚で姓が変わっている」場合には、同じ人物を同一人物と特定(同定)できずに、年金記録が別の人物として記録されてしまう場合があります。
⑤また、就労条件等の問題で、年齢をサバ読み、転職先に嘘の「生年月日」を伝える場合もあります。
⑥年金を申請する段階になって、同一人物と特定できなかった年金が、「失われた年金」となるわけです。
これが、「失われた年金問題」の本質の一部です。
確かに、「マイナンバー」で管理すれば、この様な問題を防げる事ができると思いますが、そもそも基礎年金番号を正確に転職先に伝えれば、こういう問題は起こりませんでした。
その他のメリットしては、「身分証明になる」、「行政手続のオンライン申請」、「マイナーポータルによる受けられる制度のお知らせ」等が言われております。実際にどのような手続きに使えるのか不鮮明ではありますが・・・
さて、ここで、少し遡りましょう・・・
住民基本台帳ネットワークシステムは、どうなったの?
2002年(平成14年)頃に、「住民基本台帳ネットワークシステム」、通称「住基ネット」という似たような制度がありました。
これも、「マイナンバー」と同じで、申請すれば「住基カード」なるものが交付されて、「身分証明書」と利用できたり、内臓されたICチップを利用して自治体が独自利用できるともされていました。
全国で、2,000億円以上掛かったと言われていますが、蓋を開けてみれば、普及率は、たったの5%前後といったところです。
さて、「住基ネット」と「マイナンバー」との違いは、一体何なのでしょう。
「住基ネット」は、自治体の事務における個人情報の効率化が主な目的である為、利用範囲が限定的であるが、
「マイナンバー」は、行政機関間での情報連携を目的としており利用範囲が住基ネットよりも広く設定されている。
と言われていますが、正直なところ私達には「???」で、あまり関係がないといっても過言ではないと思います。
せいぜい、利用できる行政機関が、「住基ネット」よりも多くなったくらいとしか、役所勤めの私でも理解できません。
「マイナンバー制度」は、全国で、2,700億円規模の事業と言われておりました。
「マイナナーカード」の普及率は、「住基カード」よりも少し高くなり、13%前後と言われていますが、それでも莫大な費用を投資した割には、あまりにも低いでしょう。
「マイナンバー制度」が決まった時には、「地方創生の有効な手段に成り得る!」等と発言していた方々もおられましたが、いったいなんだったのかと思います。
この制度が、地方創生に結びつくとはあまり想像がつきません。
私は、仕事がら「住基カード」も「マイナンバーカード」も取得しましたが、実際に使うのは、確定申告をネットでする際に利用するくらいで、その他には使い道が全くありません。
つまり、できる事は同じで、違いがないということです。
さて、話が長くなりましたが、この様に重複しているとも思える事業を、莫大な費用を掛けて2度も実施する必要があったのでしょうか?
個人的には、「マイナンバー制度」には、2つの「問題」が潜んでいると考えています。
1つめの問題は、「官僚の既得権益を守る」という「問題」で、
もう1つは、みなさん周知のとおりの「脱税防止」です。
1つ目の、「官僚の既得権益を守る」という「問題」は、次回にお話しすることとし、今回は、「脱税防止」についてお話しします。
「マイナンバー制度」の説明の一つ、「正確な所得を把握する」ということが上げられていました。
これまで、複数の会社から給与を受けている場合は、確定申告をする必要がありましたが、しなければしないでバレないことも多かったのが現実です。
税務署は、所得税が源泉徴収されれば、それで良いのですから・・・
この様に、所得税であれば、どちらの会社からも源泉徴収されますし、給与支払報告書は、市町に届くので住民税も課税されます。
しかし、「失われた年金問題」と同様に、同じ人物でも同一人物と特定できない場合があります。
所得に関わる税金は、基本的には累進課税となっておりますので、所得が上がれば、税率もあがります。
複数の会社から、給与を受けている場合は、本来は合算した所得で、税率を算定するのですが、同一人物と特定できない場合は、合算前のそれぞれの所得で、税率が算定されますので、結果低い税額となる場合があります。
これが、「マイナンバー制度」では、従業員は、勤務先に自身の「マイナンバー」を届けることが義務付けされ、給与支払報告書にも記載されますので、同一人物の場合は、同定され、その結果、「課税漏れ」が防止されるというしくみです。
また、被扶養家族の所得も、正確に把握されることにりますので、例えば、県外の大学に通う子供のバイト代が、「年収103万円」を超えている場合は、扶養控除が受けられなくなります。
これまでは、県外の息子の所得まで、照合するこはなかなか困難でしたし、親としても把握しきれれず、「年収103万円」を超えていても、扶養控除を申請している場合があったかと思いますが、今後は、「不正」とみなされる可能性があります。
「住基ネット」では、これらができませんでした。
にも拘わらず、まだ残っている「住基ネット」!
要するに、この制度は、「取れるものはきっちり取りましょう」というのが本質なのですが、本来の目的をあまり説明せず、さも行政サービスが向上する様な、国民に耳当たりの良い情報ばかりを流していた面があると思えます。
なお、「マイナンバーカード」を申請すると「住基カード」は、返却することなります。
しかし、「住基ネットのシステム」自体は残っており、システム運用費が今でも、継続して掛かっています。
どうせなら、「マイナンバー制度」に統合してしまい、システムも1本化すれば良かったと思うのですが・・・
現実は、そうはなっていません・・・
この点については、報道等もあまりされていない様に感じます・・・
似たような制度に、2重に投資し、運用経費も2重に掛かっている訳です。
全くもって税金の無駄遣いです。
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