大阪市が、小学校・中学校の学校給食を無償化するとの記事がありました。
大阪市、4月から給食無償化決定 コロナ感染対策で
大阪市は18日、新型コロナウイルス感染症対策本部会議を開き、松井一郎市長が子育て世代向けの経済対策として表明していた4月からの市立小中学校の給食費無償化を正式に決めた。
小中学校とも無償化するのは、人口の多い政令指定都市や中核市では初めて。給食費無償化は市立校の全小中学生約16万5千人を対象に実施。2020年度は世帯所得などの条件を設けず、年間約77億円の費用は財政調整基金を取り崩して賄う。
21年度以降は制度の詳細を20年度末までに詰めた上で続ける方針だ。
松井氏は「経済が大打撃を受けているのは目に見えて明らか。
来年度から無償化を実施したい」と述べた。ソース記事はこちら→ リンク切れ
さて、この記事を見てちょっとだけ学校給食費の無償化について調べてみまたら、少子化対策として、採用する自治体が増えているとの事でした。
但し、文部科学省が全国各自治体で実施した「学校給食費の無償化等の実施状況」および「完全給食の実施状況」についての調査結果では、平成29年度に学校給食費の無償化を小中学校ともに実施している自治体は全国で76自治体、4.4%とまだまだ少ない様です。
ヤフー記事のコメントを見ているかぎりでは、殆どが圧倒的多数でしたので、ひねくれた底辺公務員の管理人は、敢えて反対意見を考えてみました。
そもそも義務教育はだれに義務があるのか ?
義務教育に関連する法律をちょっと読み直してみました。
憲法一部抜粋
第二十六条
すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。
2すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。義務教育は、これを無償とする。
まず、憲法第26条から【その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ】とあります。
つまり親に義務があるわけですね。
義務教育の費用は誰が負担するのか?
次に義務教育に掛かる費用負担は誰にあるのかを調べてみました。
教育基本法一部抜粋
(教育の機会均等)
第四条 すべて国民は、ひとしく、その能力に応じた教育を受ける機会を与えられなければならず、人種、信条、性別、社会的身分、経済的地位又は門地によって、教育上差別されない。
2 国及び地方公共団体は、障害のある者が、その障害の状態に応じ、十分な教育を受けられるよう、教育上必要な支援を講じなければならない。
3 国及び地方公共団体は、能力があるにもかかわらず、経済的理由によって修学が困難な者に対して、奨学の措置を講じなければならない。
(義務教育)
第五条 国民は、その保護する子に、別に法律で定めるところにより、普通教育を受けさせる義務を負う。
2 義務教育として行われる普通教育は、各個人の有する能力を伸ばしつつ社会において自立的に生きる基礎を培い、また、国家及び社会の形成者として必要とされる基本的な資質を養うことを目的として行われるものとする。
3 国及び地方公共団体は、義務教育の機会を保障し、その水準を確保するため、適切な役割分担及び相互の協力の下、その実施に責任を負う。
4 国又は地方公共団体の設置する学校における義務教育については、授業料を徴収しない。
義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律一部抜粋
(教科用図書の無償給付)
第三条 国は、毎年度、義務教育諸学校の児童及び生徒が各学年の課程において使用する教科用図書で第十三条、第十四条及び第十六条の規定により採択されたものを購入し、義務教育諸学校の設置者に無償で給付するものとする。
教育基本法の第5条から、授業料を徴収しないとあります。
次に、 義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律の第三条から教科書類も無償となっています。
つまり基本的に、授業料と教科書は無償だが、その他の費用は実費負担ということになります。
但し、低所得者向けの支援措置として、教育基本法第4条第3項により【就学支援制度】があります。
低所得者向けの制度があるにも拘わらず給食費という実費を無償化するのはなぜ?
ここで、純粋に行政の役割の一つである【所得の再分配】において、高額所得者程税率が上がるという累進課税制度が設定され、尚且つ低所得者向けの制度があるにも拘わらず、給食費という実費を無償化する必要があるのかはなはなだ疑問に思います。
給食費の1食分の実費負担額は、全国平均で【250~300円】程度です。
当然これらには、設備費・配送費・人件費等は含まれていません。
あくまで、材料費の実費相当額ということです。
実際に自身の子供が飲食した実費を何故無償化する必要があるのでしょうか?
全ての原因はモラルハザード
管理人が子供の頃にはあまり問題となっていませんでしたが、管理人が役所に勤める様になったくらいには、既に保育料の滞納や給食費の滞納が社会問題化していました・・・
管理人もそれらの滞納整理の現状を垣間見た事がありますが・・・
滞納整理に行くと・・・
新築の家だったり・・・
結構良いクルマが止まっていたり・・・
することは、実は少なくありません・・・
滞納する理由を尋ねると・・・
【クルマや家のローンを払わないといけないから・・・】と真面目に答えるのですよ。
そもそも、金銭感覚が狂っています。
当然ですが、そういう家庭では資産もあり所得もそれなりにあるので【就学援助】の対象とはなりません・・・
つまり端的に言えば、ネグレクト状態というわけです。
子供は親を選べないので社会で守る必要性は認めるが・・・
子供は親を選べません・・・
不幸にも社会的モラルに欠けた親を持ってしまったら・・・
虐待やネグレクトといった問題に直面することにもなります。
しかし、給食費を無償化したところで、この問題が解決できるとも思えません。
ネグレクト状態にあると、給食の1食が生命線になるという意見もありますが・・・
だったら、夏休み・冬休み・春休みはどうするのですか・・・?
と聞き返したくなります。
幼保無償化もそうですが、少子化だからといってなんでもかんでも行政が面倒を見なければいけないという風潮は管理人は反対です。
親の責任を放棄させるような施策をするから、モラルハザードが進行するのですよ。
そもそも、財源には限りにはありますし、一度無償化すると今後有償化に戻すことはまず不可能です。
大阪府は財政調整基金を取り崩すという事ですが、それも限りある財源です。
何年~何十年にもわたって継続できる制度設計は出来ているのでしょうか?
政治家は、なんでもかんでも行政がやれと言いますが、身銭は切らないのですよ。
負の連鎖は止まらない・・・
管理人は役所の福祉部門も経験したことがありますが・・・
ハッキリ言って、負の連鎖は止まりません・・・
統計的にですが、ネグレクトな環境でそだった子供らは、自身が親になった時に同じようにネグレト状態となる傾向があります。
【子は親を映す鏡】という諺がありますが・・・
昔の人は良く言ったものです・・・
本当にそのとおりなのですから・・・
子は将来の社会を担っていく大切な資産です。
親がちゃんと親として機能できるような社会の育成と教育を実践するのが本来の行政の役割だと管理人は感じます。
まとめ
少子化だからといってなんでもかんでも行政任せでは親のモラルハザードが進行するだけ
親がちゃんと親として機能する社会育成と教育が行政の役割
政治家はなんでもかんでも行政がやれと言うが身銭は切らない
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