【自治体DXの罠】電子回覧板アプリ導入で「費用と手間が倍増」する理由?

080-お仕事

超ド底辺地方公務員の管理人だ。

さて、自治会から「紙の配布や回覧板を回すのが大変だから、電子回覧板アプリを導入してほしい」という声がここ数年少しづつ多くなっている。

しかし、近隣の導入している自治体の実態を調べてみると・・・

アプリを導入したからといって、紙の配布が減少できるという簡単なものではなく、

「紙とアプリの二重運用」という泥沼に陥り、費用も職員や自治会の手間も倍増するという本末転倒な結果を招くことになっている状況も散見される。

なぜ二重運用が起きてしまうだろうか?

そしてそれを防ぐための「現実的な制度設計」は可能なのだろうか?

なぜ「紙とアプリの二重運用」になってしまうのか

多くの自治体で二重運用が定着してしまう原因は、主に以下の3点にある。

① 例外を基準にルールを決めている

「高齢者などでスマートフォンを使えない人がいる」という理由で紙を残し、結局は「全員分の紙(100%)を印刷して回す」という思考停止に陥ってしまう。

② 「紙を減らす目標」がない

自治体も自治会も「情報を全員に届ける」という原則を理由にして、紙の配布をやめる判断を先送りにしてしまう。

③ 運用のルールを変えていない

アプリという新しい道具を入れただけで、情報の配布や管理の仕組みは昔のまま維持しようとする。

運用ルールを変えないデジタル化は、ただの「費用増と現場の混乱」しか生み出さないのである。

「条件付き手上げ方式(公募制)」の導入

自治体の公金(税金)を使ってシステムを導入する以上、「紙を削減してコストや手間を減らす」という明確な目標設定は不可欠であると考える。

※DX=既存の価値観や業務の運用を抜本的に見直し、効率性や生産性を上げるだからだ。

自治会側の「便利なツールは欲しいが、従来の紙もそのまま残してほしい」という都合の良い要望は、ひとまず脇に置いて、一律に導入するのではなく「紙を削減する覚悟のある自治会のみが申請できる制度」を作るという方法も検討が必要であろう。

【制度設計の全体手順】

  • Step 1:事前の意思決定 → 自治会の総会等で「アプリ導入」と「紙削減」を正式に決議する。
  • Step 2:本申請・審査 → 条件(紙の削減や役員の合意)を受け入れられる自治会のみが応募する(手上げ方式)。
  • Step 3:準備期間 → 初期設定、役員研修、住民向け説明会やスマホ講座の準備を行う。
  • Step 4:併用期間 → 紙とアプリを併用運用する。この半年間でアプリの登録支援を集中して実施する。
  • Step 5:本格運用 → 「紙削減」を断行する。紙の配布は未登録世帯の専用ルートや地域掲示板のみに縮小する。

紙8割削減案と併用半年

① 「紙8割削減」の根拠(普及の理論)

スマートフォンが広く普及した現代においても、新しい仕組みを最後まで受け入れられない層は一定数(約2割)存在する。

つまり、「上位8割をアプリへ移行させ、残りの2割にのみ別の手段で対応する」という設定は、現実的かつ合理的なラインである。

※イノベーター理論を参考とする。

この理論からずれば・・・

100%のアプリ導入は難しいだろう・・・

しかし、8割は導入して、2割が残るくらいまではイケそうだ。

つまり、8割まで紙を削減できるのでは現実的だと思われる。

  • イノベーター(革新者)
  • アーリーアダプター(初期採用者)
  • アーリーマジョリティ(前期追随者)
  • レイトマジョリティ(後期追随者)
  • ラガード(遅滞者)

② 「併用期間6ヶ月」の根拠

期限を1年に延ばすと「後でやればいい」という意識が働き、最初の半年間に誰も普及活動をやらなくなる。

また、単年度で交代する自治会役員の任期内に「決議から紙8割削減」まで着地させることで、次期役員への引き継ぎ時のトラブルを防ぐことができる。

2割の紙を残す場合のルール(業務を増やさない工夫)

「残る2割の紙」をこれまで通り全世帯に回していては、二重業務から抜け出せない。以下のルールを義務付けるべきである。

  • 戸別回覧をやめ「地域掲示板」へ移行する → 紙を使えない世帯向けには、回覧板を個別に回すのではなく「集会所や地域の掲示板に1枚貼るだけ」にする。
  • 回覧ルートの縮小 → 全員がアプリに登録した班は紙の回覧を全廃し、紙が必要な世帯がある班だけに絞って1冊だけ回す。
  • 紙の印刷補助金の連動 → アプリを導入した自治会に対しては、翌年度から紙の印刷補助金を減額または廃止する仕組みを整える。

自治体が持つべき姿勢

管理人が考えるに、自治体が取るべき姿勢は明確である。

「紙をやめる覚悟がないなら、最初から紙のままでいい」と突き放す強さが必要だ。

自治体は単なるアプリの購入業者ではなく、地域の持続可能な仕組みを作るパートナーだからである。

「導入したいのであれば条件を受け入れて申請してほしい」という選択権と責任を自治会側に渡すこと。

税金を無駄にせず、現場の負担を本当に減らすためのデジタル化を目指すことこそが、今求められている施策である。

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