超底辺地方公務員の管理人です。
さて、ネットのニュースを見ていたら次の記事を見つけました。
山口県阿武町が、新型コロナ給付金を誤って1人に対し4630万円を振り込んでいた問題で、振り込まれた人物が「返還できない」と話していることがわかった。
引用:ヤフーニュース
この問題は、新型コロナ対策の1世帯10万円の給付金を支給する際、阿武町が誤って1世帯に4630万円を振り込むミスをしていたもの。
誤って振り込まれた4630万円は、今週返還される予定だったが、花田町長は22日、振り込まれた人物が「返還できない」と話していることを明らかにした。町の職員が21日夜、この人物と面会したところ「入金されたお金はもう動かしている、もう元には戻せない、罪はつぐないます」と返還は困難だと話しという。
阿武町では、本人と交渉を続けると共に、警察にも相談している
さて、不当利得返還請求については、民事で争って貰えば良いとして・・・
管理人が原因を類推してみる
実際にこの【令和3年度の臨時特別給付金】の事務に携わった管理人が、何故この様な問題が発生したのかを類推してみました。
そもそもこの制度については、国が急に決めた給付金制度であり、複雑な抽出条件だけ指定して、実際の給付事務については、市区町村に丸投げ状態でした。
令和3年度の臨時特別給付金の支給条件についてはこちらの記事を
急に決まった給付金であり、条件が複雑なクセに、国からは加給的に速やかに給付しろ等とムリゲーを押し付けられる始末です。
今回の事例は、金額がかなり大きすぎる支給ミスですが・・・
全国の自治体で、報道されていないレベルで大なり小なり似たような事例があることは間違いないでしょう。
さて、本題の今回のミスの発生経緯ですが・・・
管理には次の様に類推しています。
- システムが間に合わないのでエクセル管理
- 手作業で紙の申請書を入力
- 起案はエクセルで印刷したリストを貼付
- 支出負担行為と支出命令は463人分×10万円=4,630万円と入力
- 支払は口座振り込みで別添の全銀協フォーマットを参照とする
- フリーのソフトウエアでエクセルから全銀協フォーマットを作成
- なんらかのミスにより全銀協フォーマットの変換ミスが発生
- 全銀協フォーマットの内容は463人分の行があるが内462人は0円で残りの1名が4,630万円となっている
- 担当者は全銀協フォーマットの行数が463件あるのでOKと判断
- 全銀協フォーマットは電送のため銀行側でもヒューマンチェックが働かない
- 振込ミスが発生
といったところでしょうか?
※盛大に類推は外れました・・・
管理人も実際にこの事務をするにあたり近隣自治体に問い合わせましたが・・・
多くの自治体がエクセルで頑張っている
殆どの自治体がシステムが間に合わないのでエクセル管理で行うとのことでした。
そもそも給付金系のシステムは各制度ごとに抽出条件等がカスタマイズされているので、汎用的なシステムでは今回の給付には対応できません。
システムを新たに作成するとなるとかなりの期間を要します。
つまり、システムを作っていては間に合わないという訳ですね。
しかし、国は早く給付しろと無理なことを求めてきます。
結果、この様な問題が起こる訳ですよ。
国がなんでもかんでも自治体に丸投げするのが悪い!
こんな問題が起こる事なんて、現場の人間であれば、誰でもが簡単に予測できます。
しかし、国の役人達は、知ってか知らずか自治体に簡単に事務を押し付けるわけです。
使うか使わないかは別として、せめて国でシステムを作って、各自治体で無料で使える体制にでもすれば防げた事案である可能性はあります。
管理人は、エクセル管理の危険性を十分に認識していたので、給付ミスを出来る限り防止する為に、アクセスによるデータベースと簡易的な給付システムを内製しましたが・・・
これで、今のところミスなく給付ができているという感じです。
今回の事案については、管理人的には、給付を急いで無理なスケジュールで事務を押し付けた国にもその責任があると感じています。
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