新型コロナウイルスの感染拡大に伴う所得の落ち込み対策に、住民税非課税世帯に30万円を支給する様です。
また、一定の所得制限を定め、収入が5割程度下がるなど急減した世帯についても対象とする方向だそうです。
ソース記事
1世帯30万円支給へ 住民税非課税世帯が対象 収入半減世帯も
参院本会議で、新型コロナ特措法に基づく2020年東京五輪延期等の質疑に答弁を行う安倍晋三首相=3日午前、国会(春名中撮影)
安倍晋三首相と自民党の岸田文雄政調会長は3日、新型コロナウイルスの感染拡大による影響で所得が減少した世帯などを対象にする現金給付について、1世帯あたり30万円とすることで合意した。
支給の対象は住民税非課税世帯。加えて、一定の所得制限を定め、収入が5割程度下がるなど急減した世帯についても対象とする方向だ。
岸田氏は会談後、記者団に、支給を始める時期について「スピード感が大事だと強く申し上げた。政府は迅速に支給する点も勘案しながら、今後調整する」と語った。
政府は、現金給付案を盛り込んだ緊急経済対策となる令和2年度補正予算案を来週閣議決定し、早ければ月内にも成立させる方針だ。
ヤフーニュース
住民税非課税ということで自治体に仕事が下りてくることがほぼ決定か?
住民税の課税主体は、市区町村です・・・
つまり、住民税の非課税要件が加わったことで、この仕事が自治体に降りてくる可能性が非常に高くなりました・・・
まさにリーマンショック時の定額給付金の再来です。
しかし、まず第一に住民税は前年の所得に対して課税されます。
つまり2020年度の住民税は・・・
2019年1月1日から2019年12月31日までの所得に対して課税されます。
日本での新型コロナウイルスショックが2020年の2月末でしたので、現在の所得状況が考慮されていない点に疑問を感じずには得られません。
中には、2019年中の所得が少なくても、2020年現在は、それなりに所得がある方もいらっしゃるはずです・・・
一定の所得制限はいつの時点・・・?
また、一定の所得制限を設けるとありますが・・・
所得情報が確定するのは、概ね翌年の5月末頃です・・・
つまり2020年の所得が確定するのは、2021年の5月末です・・・
ですので、所得制限を設けるといっても、現状ではいつの時点の所得を言っているのか、不明ですが・・・
恐らく2020年5月末頃に確定する2019年中の所得の事だと想定されます。
であれば・・・
住民税の非課税世帯要件と同じように、2020年現在の所得要件は関係ない事となります。
収入が5割程度下がるは・・・どうやって調べるのか?
次に収入が5割程度下がるのは、どうやって審査するのか全く分かりません。
毎年5月末以降であれば、前年中の所得と前々年中の所得を比較することはできますが・・・
この数字を比べたところで無意味ですし・・・
かといって、現在の所得状況を自己申告させたところで、それを証明する術がありません・・・
記事を見る限りでは、現状では不確定要素が多すぎて、認定要件や支給手続きが混乱すること必至です。
条件が複雑になれば現場が混乱する
支給要件が複雑になれば、それだけ現場での対象者の抽出が難しくなります。
一般的な自治体のシステムでは、5月末に当該年度の住民税の課税・非課税と前年中の所得くらいしかわかりません。
それでも、対象者の抽出や支払いの登録等には、別途システム改修が必要になります。
つまり、支給するにしても、給付金とは別に、システム改修費や人権費などのコストも掛かります。
しかし、リーマンショック時の定額給付金のシステムを再利用するのであれば、再設定費用程度で、システム改修費は、ほぼ不要となるでしょう。
自治体のシステムは、その殆どがベンダロックが掛かっているので、おそらく当時のシステムを継続して使っている可能性が高く、定額給付金時のシステムも残っている可能性が大きいです。
面倒くさい条件を付けるくらいなら、金額を減らしてでも一律給付の方が支給がし易い
国が想定している支給世帯数が分かりませんので、なんとも言えませんが・・・
支給対象世帯の数によっては・・・
面倒くさい条件を付けるよりも、金額を減らしてでも全世帯に一律支給する方が現場も混乱せずに、事務も捗ります。
ややこしい事を考える前に、現場での制度の運用も多少は考慮して欲しいと思います。
まとめ
住民税非課税世帯といっても前年中の所得が算定基準であり現在の所得は関係が無い
所得制限も同様に前年中の所得しか分からないので現在の所得は関係が無い
収入の減少状況に至っては調べようがない
制度の運用方法も考えて制度を設計して欲しい
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