へっぽこヘタレえせシステム管理者の管理人です。
久々の仕事ネタ・・・
さて、いよいよ本年度が・・・
自治体システムの標準化・共通化の正念場ですが・・・
デジタル庁のガバメントクラウド利用推し???
が強引すぎて嫌になっています。
免責的債務引受
ガバメントクラウドの利用は、
【ガバメントクラウド利用権付与兼債務引受契約】という名目で、
デジタル庁と各自治体が締結することになっています。
利用料の流れは、平たく言えば・・・
そのものずばりですが・・・
自治体 → デジタル庁 → CSP(クラウドサービスプロバイダ)
なのですが・・・
次のとおり一般的には不利とされる、
免責的債務引受条項が漏れなくついてきます。
(クラウドサービス利用料金に係る債務の引受け)
第7条 デジタル庁と利用者は、クラウドサービス基本契約等に基づき、デジタル庁がクラウドサービス提供事業者に対し、クラウドサービス利用料金(以下「利用料金」という。)支払債務(以下「本債務」という。)を負担していることを確認する。
2 利用者は本債務のうち、利用者による利用に係る利用料金支払債務をデジタル庁から免責的に引き受けることを約する(以下、本項に基づき引き受けられた支払債務を「引受債務」という。)。
3 利用者は、クラウドサービス提供事業者に対して、引受債務を履行しなければならないものとする。
4 利用者は、デジタル庁が指定する書式により「免責的債務引受承諾依頼兼誓約書」(以下「誓約書」という。)を作成し、デジタル庁に送付するものとし、デジタル庁は、受領した誓約書をクラウドサービス提供事業者へ送付するものとする。
5 デジタル庁及び利用者は、誓約書に基づき、クラウドサービス提供事業者から発行される「免責的債務引受承諾通知書」を利用者がデジタル庁から受領したことをもって民法第472条における免責的債務引受がクラウドサービス提供事業者により承諾されたものとみなし、引受債務につき、クラウドサービス提供事業者がデジタル庁に対してその履行のすべてを免責することを確認する。
ちなみに・・・
デジタル庁が提供するサービスは・・・
(ガバメントクラウド利用権の付与)
第5条 デジタル庁は、利用者に対し、クラウドサービス(クラウドサービス提供事業者が提供する仮想マシンや仮想ネットワークをはじめとするサービス及び当該サービスを構成する個々のリソースをいう。以下同じ。)の利用権(以下「ガバメントクラウド利用権」という。)を付与する。
2 利用者は、前項の利用権に基づき、クラウドサービスの運用管理に関する業務(以下「運用管理業務」という。)を行うものとし、必要に応じ、クラウドサービスを配置するための環境(以下「クラウド環境」という。)の利用をデジタル庁に申請することができる。
3 利用者は、第三者に本契約上の地位、本契約に基づく権利又は義務の全部又は一部を譲渡してはならない。
利用権の付与といういささか分かり難い表現を使っています。
がデジタル庁が利用権を自治体に付与するというのは・・・
外形的に再販契約に該当すると認識できると管理人は判断します。
再販契約であるならば・・・
CPS ←債権債務関係→ デジタル庁 ←債権債務関係→ 自治体
という関係になり、
デジタル庁と自治体間のみに債権債務関係が発生するハズです。
また、デジタル庁は、自治体が直接CSPと契約するこてとはできないと明言しており、
まさにこれは、外形的に【再販契約に該当する】のではないでしょうか?
であるならば・・・
この第7条の免責的債務承認条項はかなり自治体にとって不利なります。
現実的にはありえないと思いますが・・・
自治体がデジタル庁に利用料を支払っても、
デジタル庁が着服してCSPに払わなかったら、
CSPから自治体に請求が来ることになるんですよね。
これって、デジタル庁の横暴じゃないですか?
免責的債務引受承諾依頼兼誓約書
さらに、
【免責的債務引受承諾依頼書兼誓約書】までご丁寧に準備して、
自治体に強制的に提出させています。
<誓約事項>
- 当団体が、デジタル庁が貴社に発注したクラウドサービス(以下「貴社提供クラウドサービス」という。)を利用するに当たり、デジタル庁と貴社との「クラウドサービスの提供に関するクラウドサービス基本契約書」(「変更契約書(利用環境整備契約)」による変更および個別契約を含む。)(以下「クラウドサービス基本契約」という。)に基づき、クラウドサービス基本契約の効力発生日以降に発生する貴社提供クラウドサービス利用の対価としての代金(以下「利用料金」という。)の支払債務のうち当団体の利用にかかる部分を、デジタル庁から、免責的に引き受け、その履行を約したこと。
- 当団体が、デジタル庁との間で締結する「ガバメントクラウド利用権付与兼債務引受契約」に基づき、デジタル庁が貴社から当該利用料金に関する支払請求書を受理した日から起算して最長45日(以下「約定期間」という。)以内に、当団体の利用にかかる利用料金を、デジタル庁を通して貴社に支払うものとすることを約したこと。
注釈
当団体=自治体
貴社=CSP
本当に意味が分かりませんし、理解不能です。
こんな横暴が許されてよいのでしょうか?
クレームは入れたよ
もちろんクレームは入れましたが・・・
デジタル庁の主張は・・・
この契約は一般的な再販契約と異なるものでであり、
デジタル庁は、自治体から利用料を預かって、CSPに支払うものであることから、
【免責的債務引】条項が必要だということでした。
契約書にそんなこと一切書いてないし、読み取ることもできませんが・・・
契約自由の原則はどこに行った?
確かに・・・
デジタル庁・ガバメントクラウド・預り金でググると・・・
国と自治体の共通クラウド基盤「ガバメントクラウド(政府クラウド)」について、デジタル庁が新法制定を検討していることが5日、分かった。自治体などが民間事業者に支払うクラウド利用料を「預かり金」として国が一時的に保管する仕組みの創設などを盛り込む。今秋にも想定される臨時国会に提出し、2025年4月の施行を目指す。
新法は「ガバメントクラウド利用に関する法律案」(仮称)。デジタル庁と関係省庁が協議した結果、自治体など国以外の機関は利用料を国に支払い、国はこれを「預かり金」として一時保管し、国分と合わせてクラウド事業者に支払う枠組みが固まった。預かり金として処理するには根拠法令が必要になるため、新法を制定する。
という記事が出てきましたが・・・
だったら契約書にそれが分かるように記載しろよと思いませんか?
契約書から読み取れない・契約書の解説にも記載がないことを
理解しろと言われても無理があります。
完全にデジタル庁の説明不足でしょう。
検索すると・・・・
情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律
の第24条に次のとおり記載されていました。
が・・・
なんかこれは違う気がする。
(共同利用クラウド・コンピューティング・サービスの利用に関する金銭の保管)
第二十四条 内閣総理大臣は、公共情報システムの効果的かつ効率的な整備及び運用を図るために、共同利用クラウド・コンピューティング・サービスの共同利用の条件に関する内閣総理大臣と当該共同利用クラウド・コンピューティング・サービスを提供する事業者との契約において、公共情報システム整備運用者が当該事業者に支払うべき当該共同利用クラウド・コンピューティング・サービスの利用に係る料金について内閣総理大臣が当該公共情報システム整備運用者から納付を受けた上で内閣総理大臣から当該事業者に引き渡す旨を定めたときは、当該納付を受けた料金その他の公共情報システム整備運用者の当該共同利用クラウド・コンピューティング・サービスの利用に関する金銭を保管することができる。
2 前項の規定による金銭の保管に関し必要な手続については、デジタル庁令で定める。
3 内閣総理大臣は、前項のデジタル庁令を定めようとするときは、財務大臣に協議しなければならない。
ややこしすぎて理解できんな・・・
こんな意味不明な言葉遊びをして何が楽しいのか???
整理すると
内閣総理大臣は、公共情報システム整備運用者がCSPに支払うべき、クラウド利用料を
内閣総理大臣が預り金として保管することができる。
ということか?
では、公共情報システム整備運用者は何者かを調べると・・・
公共情報システム整備運用者=国と国以外の当該整備又は運用を行う者
らいのだが・・・
これままた言葉遊びが酷すぎて意味が分からん・・・
ガバメントクラウド運用管理補助者の事?
2025年4月11日時点で、
法律そのものは管理人は探せなかったが・・・
ガバメントクラウドの利用料の預かり金とは、国が地方自治体の利用料を「預かり金」として集め、事業者に一括払いする制度であり、2025年度に開始される予定。
預り金であれば【免責的債務引受】もアリかなと思うが・・・
これって、第5条の利用権の付与と矛盾する気もするんだよね。
頑張って調べましたが・・・
偏差値50しかない管理人は到底理解できません。
挫折しました。
ただ、こんな分かり難い契約体系を国が全国の自治体に強制するのって
どうなんだろうか?
少なくとも適切ではない気がするし、
検索しても法律そのものがヒットしていないのに・・・
2025年4月1日時点で【免責的債務引受契約】締結させるのも酷くないかい?
改正法が実が施行されていた
さて、さらに調べてみると・・・
情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律の改正が・・・
公布日:2025年1月8日(令和7年)
施行日:2025年3月8日(令和7年)
施行されていました。
国以外の者のクラウドサービスの共同利用に係る金銭の保管に関する規定の整備
デジタル庁は、ガバメントクラウドの利用に関するクラウドサービス提供事業者(CSP)との契約において、国以外の者がCSPに支払うべきガバメントクラウド利用料についてデジタル庁が国以外の者から納付を受けた上でデジタル庁からCSPに引き渡す旨が定められているときは、クラウド利用料を保管することができることとする。
だったら、契約書の解説に明記しろよという感じ。
国から通知は来ていたのかもしれないが、
毎日大量のドキュメントが送られてくるので、すべて理解するのは現実的に不可能。
一方で、預り金であったとしても、
民法上の契約自由の原則で、
免責的債務引受は当事者同士の合意によるものであり、
デジタル庁が強制できるものではないと考える。
いずれにしても、
デジタル庁が上から目線すぎて、自治体に対する説明は足りないし、
契約書案が送付されてから契約締結まで、
2週間も無いというタイトなスケジュールで強引すぎる。
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